精製水はコンタクトレンズの洗浄水としても利用できる|使い方とメリットを解説

精製水はコンタクトレンズの洗浄水としても利用できる

非常に幅広い用途で使用されている精製水の中には、コンタクトレンズの洗浄に用いることのできるものもあります。

このように説明すると、以下の質問を受けることが多いです。

「コンタクトレンズの洗浄用って何?」
「コンタクトレンズの保存もできるの?」

最近では、コンタクトレンズの洗浄と保存を兼ねたタイプのものがコンタクト洗浄剤の主流なので「洗浄液」といってもあまりピンとこない方が多いようです。

そこで、今回の記事では精製水の用途の一つでもあるコンタクトレンズの洗浄での用途について解説します。

コンタクトレンズの洗浄に使用する精製水とは?

コンタクトレンズの洗浄に使用する精製水とは?

精製水とは、水道水などの原水からミネラル成分や塩素系消毒剤・細菌などの物質を除去した水のことです。
不純物が除去されていることから、水本来の働きをさせることができるため、水道水では都合の悪い様々な場面で精製水が用いられています。

具体例を紹介すると次の通りです。

  • 薬品や塗料の希釈溶液として(水道水を使用すると、不純物が化学反応を起こしてしまい、品質にばらつきが生じることがある)
  • 精密な機器の洗浄用水として(水道水を使用すると、不純物が機械の故障の原因となってしまうことがある)
  • 化学実験器具の洗浄用として(水道水を使用すると、不純物が化学反応を起こし、正しい結果が出ないことがある)
  • アロマや美顔器に使用する水として(水道水を使用すると、不純物であるミネラル成分が乾燥して目詰まりを起こしてしまう可能性がある)

そして、デリケートな清潔さが求められるコンタクトレンズの洗浄においても、精製水が使用されることがあります。

この章では、コンタクトレンズの洗浄と精製水について解説します。

コンタクトレンズの洗浄とは?

コンタクトレンズの洗浄とは、コンタクトレンズを外すときにおこなう、レンズを指の腹でこすって汚れを落とすことです。
1日中コンタクトレンズをつけていると、空気中の小さなごみや涙などに含まれるたんぱく質がレンズに付着して汚れてしまいます。

人の目はとてもデリケートなので、汚れが付いたコンタクトレンズを装着していると結果的に目の病気になってしまったり、眼球を傷つけたりしてしまいます。

そのような事態を防ぐために、毎日コンタクトレンズを外したときにレンズをていねいに洗浄するというわけです。

コンタクトレンズの洗浄は水道水ではダメなの?

結論からいえば、コンタクトレンズの洗浄に使用できるのは精製水かドラッグストアなどで販売されているコンタクトレンズの洗浄液のいずれかです。

「水道水でコンタクトレンズを洗っちゃダメなの?」

との疑問を持つ方もいるかもしれませんが、水道水でコンタクトレンズを洗うとレンズの変形や傷の原因となり、装着したときにかゆみや痛みを感じてしまうことがあります。

また、装着時の不快感も強いかもしれません。

水道水がこのようにコンタクトレンズに悪い影響を及ぼしてしまうのは、塩素系消毒剤や鉄分が含まれているためです。

同様の理由から、井戸水やミネラルウォーターもコンタクトレンズの洗浄には適していません。
(井戸水やミネラルウォーターには、塩素系消毒剤は含まれていませんが、鉄分などのミネラル分が含まれています)

「水道水でコンタクトレンズを洗ったら、なぜか少し目が痛かった」
という経験をされた方もいると思いますが、それには水道水の不純物が関係していたということですね。

コンタクトレンズの洗浄に使用できる精製水とは?

コンタクトレンズの洗浄に利用できるのは、精製水とコンタクトレンズ洗浄液の2種類ということを記載しましたが、全ての精製水がコンタクトレンズの洗浄に使用できるわけではありません。

コンタクトレンズの洗浄に使用できるのは「コンタクトレンズ用」のもののみです。

「コンタクトレンズ用」という記載は、商品のパッケージなどに目立つように記載されていることが多いので、コンタクトレンズ用のものとそうでないものとの2種類が存在することを認識していれば問題ありません。

ちなみに、コンタクトレンズ用の精製水とそうではない精製水(工業用精製水など)との違いは、品質面では特に大きな違いがない場合もあります。

(「精製水」に厳密な定義があるわけではないため、全ての精製水が同じとは断言できませんが、工業用精製水の中にはコンタクトレンズ用の精製水と同様の製法で作られているものもあるということです)

両者の最大の違いは、規格です。

コンタクトレンズが医療・健康に関する器具のため、コンタクトレンズの洗浄に用いる精製水は「第三類医薬品」として規格に合格していることが必要とされています。

コンタクトレンズの保存には使用できるの?

ドラッグストアなどで販売されているコンタクトレンズ洗浄液は、洗浄だけではなく、保存の機能も兼ねています。

コンタクトレンズの保存とは、レンズを軽くゴシゴシ洗った後に、専用の容器に入れて一晩つけ置きすることです。

コンタクトレンズを普段使用している方にとっては説明するまでもないと思いますが、保存液につけておかないとレンズがカピカピになって使えなくなってしまったり、変形したりしてしまいます。

そして、精製水がコンタクトレンズの保存に使用できるのかというと、結論としては利用できません。

その理由は2点あります。

  1. 精製水の保存液の浸透性の違い
  2. コンタクトレンズを保存するために作られた保存液とは浸透性の異なる精製水でコンタクトレンズを使用すると、レンズの変形の原因になることがあります。
    その結果、装着時に目の痛みや違和感が出たり、眼球のキズなどの原因になってしまったりすることがあります。

  3. 洗浄効果
  4. 精製水自体にコンタクトレンズを洗浄する力はありません。

保存の前にすすぎでは、あくまで汚れを指で物理的に落とすということであり、コンタクトレンズ洗浄液として市販されている精製水のようにつけ置きをしておくとそのまま汚れを落とせるものではありません。

コンタクトレンズを保存液にそのままつけておいても汚れが落ちないため、レンズに雑菌が繁殖してしまったり汚れがたまってしまったりするなどの問題につながります。
結果的に、目の炎症や病気を引き起こしてしまう可能性があるため、非常に危険です。

つまり、精製水はコンタクトレンズの洗浄には利用できるものの、保存には利用できないということです。

コンタクトレンズ用精製水のメリットは?

最近では、多くのコンタクトケア用品が洗浄・保存の両方の機能を兼ね備えています。
従って、わざわざ洗浄のみにしか利用できない精製水をコンタクトレンズに使用するのは、少し面倒だという感じもしますね。

実際、そのように疑問を感じる方も多く、質問を受けることも多いです。

そこで、当社が考えるコンタクトレンズ用精製水の2つのメリットを紹介します。

  1. 衛生的にコンタクトレンズを使用できること
  2. コンタクトレンズの保存に関しては、コンタクトレンズを使用している大半の方がきちんと行っています。
    コンタクトレンズを長時間装着したままの状態でいるのは非常に危険であると同時に、不快な状態でもあるので、特に強く注意したり意識したりしなくてもつけ置きをするのが当たり前のことに思えます。

    しかし、洗浄を毎日するのはとても面倒に感じられるものです。
    外したコンタクトレンズをそのまま保存液に入れてしまっている方も少なくないのではないでしょうか?

    そこで、あえて精製水でコンタクトレンズを洗浄するという工程を加えることで、精製水の洗浄をつい適当に済ませてしまわないようにできるということです。

  3. 経済的であること
  4. 市販のコンタクトレンズの洗浄液は、洗浄も保存もできるため非常に便利ですが、価格を単純に比較すると精製水よりも高いです。
    商品や販売店によって値段はマチマチなので一概には言えませんが、相場としては1Lあたり1,000円程度です。

一方、精製水は500mlタイプのものが100円前後で購入できます。

どちらを使用した方が経済的であるかは比べるまでもありません。

また、経済的だからこそ、精製水を使用する際にはもったいないと思うことなくたっぷりと使ってすすぎ洗いをすることができます。
そのことが衛生的にコンタクトレンズを使用することにもつながります。

コンタクトレンズ用の精製水はどこで売っているの?

コンタクトレンズ用の精製水はどこで売っているの?

コンタクトレンズ用の精製水が売っているのは、ドラッグストア・薬局かもしくはインターネットサイトのいずれかです。

上で紹介した通り「第三類医薬品」に該当するため、コンタクトレンズ用精製水は、100円均一ショップなどの店舗では購入不可の商品です。

ただし、精製水自体が一般的な商品というわけではないため、ミネラルウォーターや風邪薬・コンタクトレンズの洗浄液などのようにどこのお店にも確実にある商品というわけではありません。

日常的にコンタクトレンズ用精製水を使用する方は、残量がなくなってしまう前に早めに購入するなど、切らしてしまわないように工夫することをおすすめします。

まとめ

コンタクトレンズ用精製水は、コンタクトレンズの洗浄のために使用できる精製水です。

品質としては工業用精製水とほぼ同じものであるため、コンタクトレンズ用の精製水を一般的な精製水のように使用することは基本的に問題ありません(例えば、ガラス製品の洗浄やアロマ用水の洗浄として使用したりするなど)。

ただし、工業用の精製水をコンタクトレンズ用精製水として使用するのはNGです。
精製水をコンタクトレンズの洗浄として使用するには、規格を満たしていなければならないためです。

目は、非常にデリケートであると同時に、一生使用する非常に大切な体の部位です。
コンタクトレンズを清潔に保つために、ぜひ精製水を活用して下さい。